ゴールド(XAUUSD)は、FX通貨ペアとは異なる独特の値動きをする。ボラティリティが高く、一方向に大きく動くことが多い。それゆえに利益チャンスも大きいが、通貨ペアと同じ感覚でトレードすると痛い目に遭う。
この記事では、ゴールドトレードに特化した記録のポイントを解説する。FXの通貨ペアとは異なる分析視点を理解し、記録に反映させることで、ゴールドトレードの質を高めよう。
ゴールドがFX通貨ペアと異なる5つの特性
特性1:ボラティリティが桁違い
USDJPYの1日の平均値動きが50-80pips程度なのに対し、XAUUSDは1日に200-400pips(20-40ドル)動くことが珍しくない。重要指標発表時には1時間で100pips以上動くこともある。この高ボラティリティは、損切り幅とロットサイズの設計に直接影響する。
ゴールドトレードの記録では、損益をpipsだけでなくドルベースで記録することが重要だ。さらに、その日のATR(平均真の値幅)と比較して、損益が妥当だったかを評価する。
特性2:米ドルとの逆相関
ゴールドは米ドル建てで取引されるため、米ドルが強くなるとゴールドは下落し、米ドルが弱くなるとゴールドは上昇する傾向がある。ドルインデックス(DXY)の動きを確認することで、ゴールドの方向感を掴むヒントになる。
記録では、エントリー時のDXYの方向(上昇中/下落中/横ばい)を記録しておく。「DXY下落中にゴールドロング」のセットアップと「DXY上昇中にゴールドロング」のセットアップでは、勝率に大きな差が出ることが多い。
特性3:リスクオフ時の安全資産としての動き
株式市場が大きく下落するとき、ゴールドは安全資産として買われる傾向がある。ただし、この相関は常に成立するわけではなく、流動性危機のときはゴールドも株式と一緒に売られることがある。
記録では、株式市場の状態(上昇トレンド/下落トレンド/パニック売り)をメモしておくと、ゴールドの動きとの相関を後から分析できる。
特性4:金利との関係
ゴールドは利息を生まない資産だ。そのため、実質金利(名目金利 - インフレ率)が上昇するとゴールドの魅力が低下し、実質金利が低下するとゴールドの魅力が増す。米国10年債利回りの動向がゴールド価格に大きな影響を与える。
特性5:セッションごとの値動きの違い
ゴールドの値動きはセッションによって大きく異なる。アジアセッション(日本時間9-15時)は比較的穏やかで、レンジ内の動きが多い。ロンドンセッション(日本時間16-翌1時)からボラティリティが増加し、ニューヨークセッション(日本時間21-翌6時)で最も活発になる。特に米国の経済指標発表時間帯は急激な値動きが発生しやすい。
ゴールドトレードの記録に含めるべき項目
基本のトレード情報に加えて
- 当日のATR:エントリー時点のATR(14期間)を記録する。ATRに対して損切り幅が適切だったかを後から検証する
- DXYの方向:ドルインデックスがエントリー時に上昇中か下落中かを記録
- 株式市場の状態:S&P500や日経225の動向をメモ
- 米国金利の動向:10年債利回りが上昇中か下落中か
- 重要イベント:FOMC、雇用統計、CPIなどの発表があったか
- セッション:どのセッションでエントリーしたか
ゴールド特有の分析項目
- ドルベースの損益:pipsに加えて、ドル換算の損益を記録
- ATR比の損益:損益 ÷ ATRで、その日のボラティリティに対する成績を標準化する
- スプレッドコスト:ゴールドはスプレッドが広い(2-5pips程度)。スプレッドコストが損益に占める割合を把握する
- 保有時間:ゴールドは急変動が多いため、保有時間と損益の関係を分析する
ゴールドトレードのセッション別戦略と記録
アジアセッション(東京時間)
アジアセッションのゴールドはレンジ内で推移することが多い。前日のニューヨークセッションで大きく動いた後のコンソリデーション(調整)局面になりやすい。レンジ逆張り戦略が有効な場合があるが、ロンドンセッション開始時にブレイクアウトすることを想定して、ポジションは小さめにする。
記録ポイントとして、アジアセッションのレンジ幅を記録しておく。このレンジ幅がロンドンオープン時のブレイクアウト方向を予測する材料になる。
ロンドンセッション
ロンドンセッション開始とともにボラティリティが急上昇する。アジアセッションで形成されたレンジのブレイクアウトが狙い目になることが多い。欧州の経済指標も影響する。
ニューヨークセッション
米国の経済指標発表(特にCPI、雇用統計、FOMC声明)がゴールドに最大のインパクトを与える。指標発表前後はスプレッドが急拡大するため、指標発表をまたぐポジションの損益を記録しておき、「指標またぎ」が全体の成績にプラスかマイナスかを分析する。