「ドル円を買って、ユーロドルも売った。リスクは2%ずつだから合計4%で問題ない」——そう思っているトレーダーは多いが、実はこの考え方には大きな落とし穴がある。通貨ペア間には相関関係があり、相関の高い通貨ペアを同時にトレードすると、実質的なリスクが想定をはるかに超えることがあるのだ。
この記事では、通貨ペアの相関関係の基礎から、相関を考慮したリスク管理、複数ポジションのリスクを記録する方法までを解説する。
通貨ペアの相関関係とは
相関関係とは、2つの通貨ペアの値動きがどの程度連動しているかを示す指標だ。相関係数は-1から+1の範囲で表される。
- +1に近い(正の相関):2つの通貨ペアが同じ方向に動く傾向がある
- -1に近い(負の相関):2つの通貨ペアが逆方向に動く傾向がある
- 0に近い:2つの通貨ペアの値動きに関連性がない
代表的な相関パターン
FX市場でよく見られる相関パターンを知っておくと、リスク管理に役立つ。
正の相関が強い例:
・EURUSD と GBPUSD(ともに対ドル通貨)
・AUDUSD と NZDUSD(ともにオセアニア通貨)
・USDJPY と USDCHF(ともにドルストレート)
負の相関が強い例:
・EURUSD と USDCHF
・GBPUSD と USDCHF
同時ポジションの隠れたリスク
相関の高い通貨ペアを同方向で持つと、実質的に1つの大きなポジションを持っているのと同じことになる。これが同時ポジションの隠れたリスクだ。
具体例で理解する
口座残高100万円で、EURUSDロングとGBPUSDロングをそれぞれ2%リスクで保有したとする。個別に見れば各2%(2万円)のリスクだが、この2つの通貨ペアの相関係数が+0.85だとすると、実質的なリスクは以下のようになる。
- ドルが全面的に強くなった場合、EURUSDもGBPUSDも同時に下落する
- 両方のポジションが同時に損切りにかかる確率が非常に高い
- 結果として2% + 2% = 4%のリスクを同時に被る可能性がある
- 分散のつもりが実質的にリスクの集中になっている
逆方向も要注意
負の相関がある通貨ペアを同方向で持つと、一方が利益でもう一方が損失になり、結果的にヘッジ状態になってしまう。利益が相殺されるだけでスプレッドコストだけが残る、という無意味なトレードになりかねない。
相関係数を確認する方法
相関係数は固定値ではなく、時期によって変動する。定期的に確認することが重要だ。
- 相関マトリックスツール:各FXブローカーや分析サイトが提供する相関マトリックスで確認できる
- 期間設定:日足の相関と1時間足の相関は異なる。自分のトレードスタイルに合った時間軸で確認する
- 定期更新:月に1回は相関係数を見直す。政治・経済イベントで相関が大きく変化することがある
- 相関の変化に注意:普段は高い相関がある通貨ペアでも、特定のイベント時に相関が崩れることがある
相関係数の目安:±0.7以上なら「強い相関」、±0.4~0.7は「中程度の相関」、±0.4未満は「弱い相関または無相関」と判断する。