FXにおける追証(追加証拠金、マージンコール)は、トレーダーにとって最も避けたい事態の一つだ。ポジションの含み損が拡大し、証拠金維持率が一定水準を下回ると、追加の証拠金を入金するか、ポジションの一部を決済するよう求められる。最悪の場合、強制ロスカットで大きな損失が確定する。
この記事では、追証の仕組みを基礎から解説し、証拠金維持率の計算方法、安全な管理水準、そして追証を未然に防ぐための記録と管理方法を紹介する。
追証(マージンコール)の仕組み
追証とは、証拠金維持率が業者の定める基準を下回ったときに発動する警告制度だ。日本のFX業者では、証拠金維持率が100%を下回ると追証が発生するのが一般的だ。
証拠金維持率の計算式
証拠金維持率(%) = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100
有効証拠金 = 口座残高 + 含み損益
必要証拠金 = ポジションの通貨価値 ÷ レバレッジ
たとえば口座残高50万円でUSD/JPY 1ロット(10万通貨、約600万円分)を保有する場合、必要証拠金は600万÷25=24万円。含み損がなければ証拠金維持率は208%だ。しかし含み損が26万円に達すると有効証拠金は24万円となり、証拠金維持率は100%ちょうどになる。
ロスカットとの違い
追証(マージンコール)とロスカットは混同されやすいが、別の仕組みだ。
- マージンコール:証拠金維持率が一定水準(例:100%)を下回ったときの「警告」。追加入金またはポジション決済で維持率を回復する猶予がある
- 強制ロスカット:証拠金維持率がさらに低い水準(例:50%)を下回ったときの「強制決済」。業者がポジションを自動的に決済する
業者によってマージンコールとロスカットの基準は異なる。自分が使っている業者の基準を正確に把握しておくことが最初のステップだ。
証拠金維持率の安全な目安
追証を防ぐためには、証拠金維持率に十分な余裕を持つことが基本だ。
証拠金維持率の目安
・300%以上:安全圏。急な値動きにも耐えやすい
・200〜300%:注意圏。経済指標発表前は要警戒
・100〜200%:危険圏。追証発動の可能性が高い
・100%以下:追証発動。追加入金またはポジション縮小が必要
余裕のある証拠金維持率を保つためには、実効レバレッジを低く抑えることが最も効果的だ。実効レバレッジを5倍以内に抑えれば、証拠金維持率は500%以上となり、かなりの値動きに耐えられる。
追証を防ぐ5つの実践方法
方法1:実効レバレッジを管理する
口座資金に対して保有ポジションが大きすぎないかを常に確認する。新しいポジションを取る前に、実効レバレッジが何倍になるかを計算する習慣をつけよう。
方法2:損切り注文を必ず設定する
エントリーと同時に損切り注文を設定することで、含み損の拡大を制限できる。損切りラインを設定せずにポジションを持つことは、追証への道を自ら開くようなものだ。
方法3:複数ポジションの合計リスクを把握する
個々のポジションのリスクだけでなく、保有中の全ポジションの合計リスクを把握する。相関のある通貨ペアを複数保有している場合、同方向に動いて含み損が急拡大するリスクがある。
方法4:経済イベント前にポジションを調整する
重要な経済指標発表や中央銀行の政策決定前には、ポジションサイズを縮小するか、損切りラインを狭めておく。予想外の結果で相場が急変し、追証に発展するケースは少なくない。
方法5:証拠金維持率を毎日記録する
毎日のトレード終了時に証拠金維持率を記録しておけば、維持率の推移が可視化される。急激に低下している場合は、ポジション量が増えすぎているサインだ。